WebServices の描いた夢にはサービス接続における課題(相互運用性 Interoperability)があったが、 Google はそれを力業で解決した、という話を前回した。
この解決方法は、そもそもあまり思いつかないだろうし、仮に思いついたとしてもとても実行に移せるものではない。
根拠無く口にした瞬間、山師扱い決定である。
しかし Google はとてつもないインフラと、様々なサービスを自前で整えて( or 買ってきて)、実行してしまった。
Google が本当にそう考えて行動しているかは正直わからないが、「世界政府うんぬん」をこのように解釈すると、一本シナリオが通る。
さて、Google のこの手法、技術的に考えた場合どうだろうか。
もちろん「Google の技術」がいかにすごいかは言わずもがな。
そうではなく「Interoperability の問題解決」という一点に絞って評価すると、注目点・問題点と「Googleの次」が見えてくる。
1.集中と分散
技術は集中と分散を繰り返している。
シンクライアントは何年かおきに流行り、クラサバとリッチクライアントは交互にやってくる。
この視点から見ると、Google が今やっているのは、Web で起きた分散に対する反作用に他ならない。
すると当然 Google 一極集中に対する反作用としての分散が発生することになるだろう。
2.Internet的(Web的)ではない
Google のやっていることを Web2.0 的だという言説が多いが*1、Web2.0 の定義が例え何であろうとも、そのことに強い違和感を感じている。
なぜなら Google のやっていることはそもそも「Web 的」ではないからだ。
Webとは、遍在するリソースがハイパーリンクによって蜘蛛の巣のごとくつながっていることを指す。
ところが「Google で検索したブログのデータは GoogleBase で管理され、GoogleMaps により地図を貼り付け、それらの更新作業は GoogleCalendar と GoogleMail でワークフロー管理し、GoogleAnalytics でアクセス解析し、GoogleAdsense で広告を貼り付け、その収益は GoogleCheckout にて受け取る」なんて、遍在しているどころか、まるで蜘蛛の巣に絡め取られてしまったかのようだ。
やっぱり Web というのはそういうものではないのだとおもう。
「MSN Search で検索したブログのデータは GoogleBase で管理され、Mapfan により地図を貼り付け、それらの更新作業は サイボウズ と Skype でワークフロー管理し、Yahoo Analytics でアクセス解析し、Livedoor Adsense で広告を貼り付け、その収益は Amazon Checkout にて受け取る」というのが Web的 Internet 的なのだ(一部実際には存在しないサービスあり……)。
実際、前者は間違いなく便利そうだが、後者ほどワクワクしないでしょう?
3.おもしろさ
Google の解決は見事であり、とても真似できるものではない。
この方式を支えるインフラ技術にもすさまじいものがある。
GMail の日々増えていく容量ひとつをとっても、従来の常識では考えられないレベルだ。
それらの点では素直に感嘆するしかない。
でも「Interoperabilityの問題」という刺激的な課題に対する解答として、単純な話、「技術的におもしろい」か?
正直なところ、おもしろみを感じない。図形(幾何)の問題を、無理矢理 方程式(解析)に落とし込んで解いてしまっているような気持ち悪さを感じる。
やっぱり技術者が技術を語るときには、おもしろいかおもしろくないかは何より本質的なことだと思う。
そして、おもしろくないのは本当の解ではない。
(つづく)