ソニーにWiiのライバルあり?

Wii の価格と発売日がやっと発表されましたね。

任天堂、新型ゲーム機「Wii」 12月2日発売決定。価格は25,000円
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20060914/wii.htm

もう少し安くしてくるかな、とちょっぴり期待していましたが、PS3 の価格を見てこれで十分いけると思っちゃったか。


まあ個人的には「ボブの絵画教室」( http://www.nintendo-inside.jp/news/184/18455.html ) が発売されると聞いた瞬間に Wii 購入決定なんだけれど、ローンチのタイトルに特別欲しいものがない……
「はじめての Wii」でリモコンをゲット、バーチャルコンソール用に Wii ポイントでクラシックコントローラをゲット、というとても定番なところで落ち着いてしまいそうだ。


さて、そんな Wii 購入計画はともかく。
任天堂自身は間違ってもそんなこと言わないだろうが)「リビングルームにコンピュータを」という観点で Wii を見ると、「Wii Connect 24」が全てを物語っている。


インターネットに触れている人なら、自分のPCを(結構長い時間かけて)起動させた後にしか調べ物とかメールとかができないこと、PCに保存したデータはそのPCを持ち運びかつ電源を入れないとアクセスができないことなどに不満を抱いたり、自分用の『サーバ』で好きなタイミングで好きなことをさせたいという欲求が湧いてきたりしてしまった人も少なからず存在するだろう。
これはインターネットというより「ネットワーク」のなせる業である。
ネットワークは自分が直接つながっていない時にも常に変化し続けている。このため、ネットワークにつながることが日常となった人は、つながっていない時の変化にも対応したいという欲求や必要が生まれる。
人間のネットワークでそれを実現するのは秘書や召使い(サーバント)であり、コンピュータのネットワークでのそれはサーバだ。


Wii Connect 24」は、エンターテイメント用途に限ってはいるが、紛れもないサーバである(ちなみに、エンターテイメントの適応範囲が通常思われるより広いことは、脳トレが証明したばかり)。
Wii はPCに比べるとかなり低機能・低性能だが、もともと個人用途のサーバマシンに高性能は求められておらず*1、家庭内で使われるならむしろ低騒音・低消費電力の方が重視されるだろう。
また家庭でのサーバ用途機器の場合、意外と難敵なのが「24時間電源を入れておいてもらえない」というものだ。「使ってない」時に電源を切ったり、コンセントを抜かれたりしてはサーバになりゃしない。
Wii では、どうぶつの森で村を開いておくことができるなどの伝わりやすいメリットを掲げつつ*2、消費電力が極めて小さいことを(PCの世界の人間からしたら必要以上と思えるほど)強調している。
この手法で一般家庭のリビングルームにサーバを侵入させることができるかは、任天堂のお手並拝見というところか。


で、25000円前後の価格帯で、インターネットにつながっていて、24時間電源が入っていることを前提とし、ついでに無線LANを積んでくれている、リビングルームに置かれるコンピュータとしてはWiiが初めて……かと思いきや、全ての条件を満たして、なおかつ24時間電源を入れさせることに既に成功している機器があることに思い至った。


ソニーロケーションフリーは実売27000円程度。テレビやDVDレコーダーのそばに置かれ、外でテレビを見るために基本的にずっと電源が入っている必要がある。
なんだ、ソニーリビングルームにサーバを置くことにとっくに成功してるじゃあないか(AV用途に特化しているとはいえ)。
あとはいかに普及していくか、だが、赤外線リモコン機能で各種AV機器と連携し、またPSPとも連携できるわけで、切り口はいくらでもある。
また、この手の戦いでは先行することはなによりのアドバンテージであるが、ロケフリベースステーション型に移行してから数えても Wii に先行すること1年以上。
こりゃあソニーが勝っちゃったも同然だ……*3


……とはソニー自身は考えないようで、リビングルームに置かれるコンピュータは、高性能な、ちゃんと「コンピュータ」と呼んでもらえる代物でなければならないと考えてるらしい。
一方で、ロケーションフリー自体にも作りの甘さが目立つ(発熱量が多い、セキュリティが一般的な無線機器に比べ低レベル、ソフトウェアが「バージョンアップするには一度アンインストール。設定は保持されない」「画面サイズを最小にすると、操作パネルで画面が埋まってテレビが見れない」といろいろ手抜きくさい、などなど)。新ロケフリ ( http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20225208,00.htm ) で、見た目だけじゃなくてこれらも改善されていればいいのだが。


ロケーションフリーは、そのコンセプトはとてもおもしろいと思うし、可能性も感じているのだが、うまい出口を与えられていない気がする。なんとかならんもんか……

*1:Linux系雑誌にて「もう使っていないノートPCをサーバに!」という特集が頻繁に目にされるゆえんだ

*2:それでわかってもらえることを期待していいのは、どうぶつの森が十分普及しているからだが

*3:ゲームとテレビ視聴という性格の違いはあえて目をつぶり、リビングルームサーバという一点のみにこだわってロジックを展開してますので、あしからず。