web2.0 ビジネスモデルパターン分類(1)

間が開いてしまったが、何事もなかったかのように、続き。

前回定義した「コンテンツやサービスを、他人が付加価値を付けられる状態で提供すること」にしたがうと、ビジネスモデルがどのようなパターンに分類できるかをみていく。

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まずweb2.0以前のパターンを考える。構造はとてもシンプル。

コンテンツプロバイダ(またはサービスプロバイダ。以降 CP/SP と記述)は、エンドユーザに一定規模以上のコンテンツまたはサービスを提供する主体だ。

この構造をもとに、「コンテンツまたはサービスの対価を得る」という範囲のビジネスモデルを考えると*1、以下の2パターンしかないことがわかる。

CP/SP→エンドユーザ
ニュースサイト、動画配信、通信販
エンドユーザ→CP/SP
はてなのユーザによる回答、調査目的のアンケートへの回答

アクターが2者しかいないので、順列をとってもこれだけにしかならない。
逆に言えば、このフィールド上にアクターが増えれば可能性が増えるはずだ。

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web2.0的と呼ばれるフィールドでは、CP/SP が「コンテンツやサービスを、他人が付加価値を付けられる状態で提供する」ことにより、次のような構造が現れる。

この図で「re-mixer」と書いたのが、CP/SP が提供するコンテンツやサービスに付加価値を付けようとするアクターである。

この構造でも同様に「コンテンツまたはサービスの対価を得る」という範囲のビジネスモデルを考えると、新たに12パターン考えられることがわかる(もちろん前述の2パターンも)。

CP/SP→remixer→エンドユーザ
楽天
CP/SP→エンドユーザ→remixer
remixer→CP/SP→エンドユーザ
ブログ検索
remixer→エンドユーザ→CP/SP
エンドユーザ→CP/SP→remixer
Podcaster向け音楽素材提供サービス
エンドユーザ→remixer→CP/SP
CP/SP→ (エンドユーザ→remixer)
CP/SP→ (remixer→エンドユーザ)
GoogleMapsAPI
remixer→ (CP/SP→エンドユーザ)
Amazonなどのアフィリエイト
remixer→ (エンドユーザ→CP/SP)
エンドユーザ→ (CP/SP→remixer)
Artificial Artificial Intelligence ( http://www.ce-lab.net/ringo/archives/2005/11/06/ )
エンドユーザ→ (remixer→CP/SP)

若干、remixerとエンドユーザの定義を曖昧に解釈して分類してしまっているところもあるが、そのあたりの細かいところは勘弁してやってくれ。*2

ポイントは、三者による関係では、AとB、BとC、CとAという関係に加えて、「AとB」の関係にCが影響を及ぼすという関係も生まれるため、二者の場合に比べパターン数が桁違いに多くなる(可能性がある)ということだ。
web2.0 の本質がこの構造にあると主張しているのも、この可能性の増加に注目しているからである。

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次回は、この構造が生み出す別のパターンを考えてみる。

*1:つまり「投資をしてリターンを得る」等のビジネスモデルは除外している。また、広告モデルは「サービスと対価」の全てのビジネスモデルに適応することができる(意味があるかはともかく)ので、レイヤーが異なると考え、やはり除外している

*2:?にしているところは、既存サービスに該当するものが思いつかないもの。逆にそこにビジネスチャンスが隠れているかも……と言ってみるテスト