多読のすすめ(多読で身につくスキルとは?)


ブログ界隈で今盛り上がっているのは英語勉強法話じゃあなくて日本語だろうけど(それすらもう過去の話?)、空気読まずに「多読の勧め」など書く。


多読というのは一言で言うと「子供が読むような易しい洋書を、辞書を引かずにひたすら数多く読む」という勉強法だ。


多読おすすめだよ! といっても、誰にでも向いているなんてことは残念ながらない*1


ただし、「簡単な本なんて読めることわかってるから、多読なんてやってもしょうがない」というのは、ひどい間違い。
「走れるんだからランニングなんかしなくてもいい」なんて言う?


多読するかしないかは、

  • 多読で身につくスキルを必要としているか
  • 多読を続けられる「条件」を満たしているか

で判断するべき。


まず多読で身につくスキルだが、実は、「英文を日本語に訳さず読める」こと、たった一つだ。
だから「読めることがわかっている易しい本を」「辞書を引かずに」たくさん読むことが必要なのだ。


「英文を日本語に訳さず読める」ことで何が起きるか。


1つは当然、英文を読む速度が劇的に上がる。自分の場合、1年半の多読で3倍以上速くなった。
読む速度があがると、単純に時間の節約という以外にも、英文を読む心理的な障壁が下がるので、随分気が楽になる。


ヒアリングにも効果が現れる。
ヒアリングでは当然、「しゃべるスピードより速く理解する」必要がある。黙読の速度がしゃべる速度を越えていない場合は、いくら耳がよくても「聞きとれる」わけがない。
初心者の友 VOA Special English。多読始める前はかろうじて聞きとれる程度だったのが、1年半の多読で、なんかゆっくり過ぎて気持ち悪く感じることもあるくらいになった。


ただし、多読で語彙が増えるなんてことは無いので、そこは注意。
多読 only では、100冊読んだところで語彙が500個でも増えていれば万々歳、というレベルだ。
もし語彙が2万を越えていれば(1冊の本でわからない単語が10個以下とか)、多読だけでも語彙が増えてくるようになるのかもしれないが、そんな人なら「英語学習のために多読をしようかどうしようか」と悩んで、このブログに迷い込んでくることなどないので、大丈夫。


とはいえ、多読によって様々な文例を目にすることで、記憶の強化につなげるということなら期待できる。
前回の記事『「英語が出来る」ために結局どれくらいの単語力が必要なのか』でも書いたように、語彙を増やすことはそもそも大前提なので、余力があれば「多読と並行して単語暗記」したいところ。
自分の時は iKnow と DUO を使ったが、今なら単語を素早く覚えることに特化した iVoca がある。と、プチ宣伝。


また、「読める」と「訳せる」は違うので、そこも注意。
つまり多読によって何ができるようになっているかというと、「わからない単語があっても意味をつかめる」ようになっているのだ。正確さは二の次。
だから、わかっていても訳せるわけではなく、日本語に訳すなら、せっせと辞書を引く必要がある。


したがって、あなたの「英語ができるようになりたい」が、「難しい英文を正確な日本語に訳せるようになりたい」であるなら、多読をするのはずいぶん遠回りであることがわかる。


一方、上に挙げたメリットが、あなたの「英語ができるようになりたい」にマッチしているなら、多読を試してみる価値があることがわかるだろう。
なにしろ、鍵となる「英文を日本語に訳さず読める」スキル、日本人が日本にいて独力で身につけようとしたら、恐らく多読以外に方法はないだろうから。


さて、ここまでで、多読があなたに必要かどうかはわかった。
次に、あなたが多読を続けられる「条件」を満たしているかどうかという話なんだけど、長くなったので、また今度。

*1:他の全ての勉強法と同じく