多読のすすめ(多読を続けられる「条件」)

多読のすすめ、多読で得られるのは「英文を日本語に訳さず読める」スキルだ、へーそうなんだ、の続き。


多読のメリットは大きそうだけど、それを続ける「条件」は、これがなかなかハードルが高い。
結論から言うと、「もともとかなりの本好きで、時間とお金にある程度余裕があるのが望ましい」。


実は、「英文を日本語に訳さず読める」スキルはレベルアップ型のスキルだ。


例えば語彙などは、毎日コツコツ単語暗記をすればほぼそのまま反映される、言ってみれば貯蓄型のスキル。


一方「訳さず読める」スキルは、数学や物理など理解型のお勉強に多いパターンで、ある日突然、昨日までの自分とは全く違うレベルに達していることに気づいたりする、そういうタイプのスキルなのだ。
勉強してて、「たらら、らったったったーん」というレベルアップファンファーレが頭の中で鳴り響く、的な話をどこかで目にした気がするが、まさにあれだ。


この手の話、なんだかとても楽しそうに聞こえるし、実際レベルアップの瞬間は快感としか言いようがない。
が、大きな大きな大きな落とし穴がある。


そういう不連続な伸び方をする学習曲線は1段1段が大きい階段状になっている。
つまり「いくら勉強しても力がついたと感じられない」期間があって、しかもそれが結構長い、ということだ。


自分の場合、レベルアップファンファーレを聞いたのは1年半・延べ 200冊・400万語の多読の中で3回。
つまり半年間くらい「いくら勉強しても力がついたと感じられない」のが続いて、レベルアップ! やった!! で、また半年間くらい……
半年間も勉強して力が伸びたという実感が得られないなら、もう止めようかなとそりゃ思いたくもなる。


それでも多読を続けるには、いつかは身につくとよほど信じこんでいるか、あるいは勉強ではなく「楽しみ」だと思って読み続けるか。
もともと本を読むのが大好きなら、「言葉が日本語から英語になっただけ」。
多読でメインターゲットになる児童書の楽しさを知っていて馬鹿にしない人なら、より向いてるよね。


その他にも、多読はお金もそれなりにかかるし時間も必要。


多読と言うくらいだから、たくさんの本が必要だ。
自分の場合、多読のために 150冊ほど購入してきた。中心価格は 700円前後。掛け算すると……まあ英会話教室通うよりは安いかな?
あんまりにもお金がかかるものだから、Project Gutenberg読みやすい本を探す研究をしたりなども(笑)。
2回レベルアップして多少余裕が出てくるまでは、洋書以外の本をほとんど読まなかった。まあ社会人だとさらに他の本まで読む時間を取るのはやっぱり難しい。


月々定額で多読用の本を貸してくれるとことかもあるけど、元を取れるのは Graded Reader の易しいのを読んでるうちだけだろう。
一番嬉しいのは公共の図書館で多読用の本をそろえてくれることだけど、全国でも数例くらいしかないはず。
仲間を募って貸し借りしあえるというのでも十分嬉しい。けどなかなか仲間がいない……


というわけで、最終的な結論は「あなたが本好きなら、多読は(ちょっと覚悟がいるけど)楽しくてなかなかいいよ!」ということで。


身近で多読を始めた人がいれば、自分の多読用蔵書から貸してあげることもできるんだけどなあ。
以前、会社でちょっと布教してみたんだけど、反応はいまいち。


「ラボで一番英語できない人に、これで英語勉強するといいよって言われてもねえ」


うーん、ごもっとも(苦笑)。


[追記] どこで誰に聞いたか忘れたけど、「英会話学校でもなんでも大金を払えば、もったいないからなんとか身につけようという意識になる。リアル投資は重要」とかいう主張を耳にしたことがある。その意味では、多読のために洋書を買いまくるのは理にかなっている……のかな? 借りた本って結局読まずに返すはめになることも多いしね。
ただ難点は、洋書(特にペーパーブック)は製本も印刷もあまりにも貧弱すぎて、所有欲を全く刺激しないことか……